みなさんこんにちは!アナログイラストレーターの雲丹。です。
今回はダイソーから発売されている12色 水彩絵の具 くすみカラーをレビューしていきます!使用感や発色、メリット・デメリットを普段透明水彩を愛用している作家目線でお伝えできればと思いますので、参考になれば幸いです。
購入のきっかけ
Youtubeで偶然この画材のことを知って、「くすみカラー」という言葉に引き寄せられました!
100円ショップの画材に関してはあまりいいイメージはなかったのですが、気になったまま買わないのもうしろ髪引かれる思いだったので、せっかくだからYoutubeの企画として挑戦してみようということで思い切って購入してみました!

今の100均画材がどこまで進化しているのか楽しみです!
まずは見た目をチェック







オシャレ〜〜〜!!
くすみカラーなので全体的な色合いも落ち着いた印象で良いですね〜!かわいい!これが100円とは思えないです…!
くすみカラーと聞くと和風な色合いをイメージするのですが私だけかな…?でも色の名前は洋風なので洋風な色なのかも。
「水彩絵の具」と描いてあるのでおそらく「透明水彩絵の具」とは違うもの(不透明水彩に近い?)ではないかと思います。
色見本





落ち着いてかわいい色ばかりです!それでは1色ずつ見ていきましょう!
アッシュローズ


落ち着いたベージュカラーです。ミルクティーのような色合いでとってもかわいい!少しわかりにくいですがややピンクがかった色合いです。
ローズダスト


くすみピンクです。イメージとしてはホルベインさんのシェルピンクに近い色合いかなと思います。
アイリス


落ち着いた紫色です。ピンク感が強い紫ですね。ホルベインさんのライラックのような色合いです。
ラベンダーグレイ


やや紫がかった灰色です。ほんのり紫色なので無彩色感がなく単色でも可愛い。
スモークブルー


あまりにも私が好きそうな色です。その通り大好きです。ただ、かなり色が淡いので使い所が難しいかなという印象です。透明水彩やアクリルガッシュでこんな色があったら即買いしたい…!
シャドウブルー


やや青みがかったグレー。シルバーっぽい感じもありますね。他の色と比べてやや粒状感を感じるのですがどうなんだろう…?
アンティークグリーン


落ち着いた緑です。少し青みが強いのでスモークブルーやシャドウブルーと比較しなければ青に見える人もいるかも。
ミントグリーン


落ち着いた黄緑色です。メロンシェイクのような色合いで美味しそう。ローズダストとスモークブルーと同じような不透明感があります。
ライムイエロー


落ち着いた黄色。スキャン画像では発色が良く見えますが実際はもう少しくすんだ色で色味もやや緑色に近いかなと思います。
ビスケット


ライムイエローよりさらに落ち着いた黄色。ビスケットから連想する色とは少し離れていますが、落ち着いた色味が可愛いです。
シナモン


オレンジがかった茶色です。W&Nさんのバーントアンバーに近い色合い。12色の中では発色がいい方。
テラコッタ


赤みがかった茶色にも見えるしピンクにも見える可愛い色です。こちらも他の色と比べると発色がいい方に感じます。
使用感
色見本を作ってみた後の率直な感想は「色がかなり薄い」です!というのも原因はこの絵の具の使用感にあります。
筆で実際に絵の具を溶いてみるとわかるのですが、透明水彩と比べると「絵の具がかなり溶けにくく、もったりと重い質感」です。
そのため多めの水でしっかりと溶かすことが必要になってくるので必然的に淡い色になってしまうということです。
淡い色が良さでもありますが、濃い色がなく(濃くしようとすると色が広がらない)質感も相まってグラデーションもしにくいなと感じました。



水が少ないと筆跡が残る原因にもなってくるので、使いこなすには練度が必要になりそうです。
成分表を見てみる


私自身はあまり絵の具の成分に詳しくないため正確な情報はお伝えできないのですが、調べてみた感じもったりとして重いのは体質顔料か水溶性糊料にありそうという予想です。
100円という安価な価格で商品を売るにはコストを削減する必要があるので、体質顔料(絵の具の体積を増やすためのもの)の含有量が多かったり、水溶性糊料が天然のアラビアガムではなく人工の糊料などが使われている可能性があるのかなと思います。



素人の見解なので正解かどうかはわかりませんが…!
実際に絵を描いてみた
普段の透明水彩との使用感に戸惑いつつ、ものは試しということで実際に絵を描いてみました!







思いのほかうまくいったんじゃなかろうか…!!!
うまく使いこなせるか、かなり不安だったのですが、前述した「水でしっかり溶かす」ということを意識したらそこまで大事故にならずに済んだかなと思います。



ただやっぱり普段の色の濃さからすると薄い〜〜〜!!!と思いながら描いていました😂
上手くいったところ
いい意味で水彩境界ができにくいです!水彩境界を求めて透明水彩を使っている人からしてみれば物足りなさは感じるかもしれませんが、私は水彩境界を残さないように結構しっかりめにぼかす表現が好きなので、水分量が多くても水彩境界ができにくい点は焦って境界をぼかさなくて済んだので良かったです。



いつもは色が定着する前にしっかりぼかさないと〜!!と焦って作業しているので…!
あとはほっぺですね!普段なかなかくすみ系のカラーをほっぺに使うことはないのですが、このチャレンジをしたことでくすみ系めちゃくちゃ良くないか…!?と新しい発見になりました。
上手くいかなかったところ
元々そこまで濃い色を使うタイプではないのですが、いまいち「あともう一歩!」という色の濃さが足りなかったなあと思います。濃くしたい部分は点置きすることを前提に花やリボンに意図的に色を置いています。



厚く塗ると透明感は無くなってしまいます…!
思うところは色々ありますが、色鉛筆のような仕上がりでそれはそれで気に入っています!
雲丹。の推し色


推し色は「テラコッタ」でした!肌や髪などにも万能に使えて便利だし、ほっぺや目元に塗った時のジュワッとした色が可愛すぎた…!!
透明水彩で描いたものと比較してみた
せっかくなので透明水彩で描いたものとも比較してみました。紙はどちらも同じウォーターフォード水彩紙です。
Aが透明水彩、Bがくすみカラー水彩絵の具です。






並べると結構違いがありますが片方だけで出されたらどっちがどっちかは意外とわからないかもと思います。



実際に私もどちらかを片手に取った時に一瞬「あれ?どっちで描いてたっけ?」となっていました。





スキャン画像だとまたちょっと印象が変わるかも。特に彩度の違いは明確かなと思います。
使用色一覧
透明水彩で描いたイラストに使った色は以下の通りです。


クサカベ ジョーンブリヤン


アッシュローズやテラコッタの代替としてセレクト。
シェルピンクと混ぜて肌色に使ったりレモンイエローと混ぜて髪のハイライトのベースなどにも使っています。黄色すぎずピンクすぎずな色で重宝しています。


ホルベイン シェルピンク


ローズダストの代替としてセレクト。ほっぺのベースの色や花の色、ラベンダーと混色してアイリスの代わりとしても使いました。


ホルベイン ラベンダー


アイリスとラベンダーグレイの代替としてセレクト。ラベンダーグレイは実際ほぼ使っていないのでないものとして考えてもらっていいかも。


ターナー マヤブルー


アンティークグリーンの代替としてセレクト。シャドウブルーのような役割もしてくれました。


ウィンザー&ニュートン ウィンザーグリーン(イエローシェード)


ミントグリーンの代替としてセレクト。花の茎や葉っぱの部分に使っています。


ウィンザー&ニュートン ニューガンボージ


ビスケットの代替としてセレクト。意外と高発色だったので、ラベンダーやバーントアンバーと混ぜて服のベースの色として使用しました。


ウィンザー&ニュートン ブラウンマダー


テラコッタの代替としてセレクト。ほっぺに使ったり髪色に使ったり大活躍な色でした。ニューガンボージと混ぜてオレンジっぽくもできるます。


ウィンザー&ニュートン バーントアンバー


シナモンの代替としてセレクト。髪色やブーケのリボンのほかにラベンダーやシェルピンクと混ぜて服の影にも使いました。


制作の順番について
制作の順番としては『ダイソーのくすみカラー水彩絵の具』→『通常の透明水彩』という順番です。
透明水彩で描くときに意識していたことは、くすみカラー水彩絵の具の色がかなり淡かったので、トーンの差で違いがないように「水を多めに使って淡く塗る」ということを強く意識してみました。なので水の量は普段の1.5倍くらいになっているのではないかなと思います。
その結果透明水彩で描いたものの方が水彩境界が顕著に現れるといった結果になりました。



普段は水を吸い取るようにしてぼかしていくことが多いので水彩境界は出にくいです。
あとは彩度ですね!くすみカラーで描いたイラストを見ながら彩度が高くなりすぎないように心がけました。



それでも比較すると彩度が高く見えるのは、透明水彩ならではの魅力ですね。
クイズを出してみた
せっかく2枚描いたことなので、Xにてこんなクイズを出してみました。


第三者の目線から見たらどう見えるのかな?という検証です。あえて前述したような細かな情報は与えずに画像のみで判断していただきました。
結果はこうなりました。


Bがダイソーのくすみカラー水彩絵の具と回答した方が多かったのですが、Aがダイソーのくすみカラー水彩絵の具なのではないかと思う方もかなり多かったんですよね。
理由を聞いてみた
Aをダイソーのくすみカラー水彩絵の具と判断した人、Bをダイソーのくすみカラー水彩絵の具と判断した人それぞれに何を基準に判断したのか聞いてみました。
※前提として『普段から透明水彩を使っている方』から、『透明水彩を触ったことがないという方』など幅広い層の方に回答していただいています。
Aをダイソーのくすみカラー水彩絵の具、Bを透明水彩絵の具と判断した人の意見
Aがダイソーのくすみカラー水彩絵の具
- 発色の度合いに差がある(特に黄色の発色が強すぎる)
- 色の境界線がはっきりしていてぼかしきれていない
- 顔料によるムラが感じられる
Bが透明水彩
- にじみが綺麗
- 色に統一感があり深みがある
- 重ね塗りをした時の色がはっきりしている
Aを透明水彩、Bをダイソーのくすみカラー水彩絵の具と判断した人の意見
Aが透明水彩
- 透明感がある
- 水彩境界がしっかりある
- 発色が良い
Bがダイソーのくすみカラー水彩絵の具
- Aに比べて彩度が低く暗い印象
- 不透明感があり浮いて見える(特に紫)
- 単色の重ね塗りでムラを感じる



たくさんご回答いただきました!ご協力ありがとうございました!
補足説明
Aをダイソーのくすみカラー水彩絵の具、Bを透明水彩絵の具と判断した人の意見でなぜそう見えたのかという点についても一部補足しておこうと思います!
まずは「発色の度合いに差がある(特に黄色の発色が強すぎる)」という点ですね。
これはシンプルに私のセレクトした色の中でレモンイエローやニューガンボージの黄色の発色が格段によかったからですね…!他にセレクトした色は彩度が低めの色なのでその差で黄色だけがポッと明るく見えたのだと思います。



ウィンザーグリーンも色鮮やかだけど狭い範囲にしか使ってなかったのであまり目立たなかったみたい。
次に「色の境界線がはっきりしていてぼかしきれていない」という点は普段より水を多く使ったため上手くぼかしきれなかったのが原因かなと思います。
淡く塗ろうと思うとどうしても水をたくさん使うことになるので水彩境界が多く発生し、そう見えたのだと思います。
最後に「顔料によるムラが感じられる」という点は水を多く使ったことにより粒状化が起きたためムラの原因になったのかと思います。



これをプラスのものとして捉えるかマイナスのものとして捉えるかは見る人の好みになってくるのかなと思います!
この意見をふまえて気がついたこと
Aをダイソーのくすみカラー水彩絵の具、Bを透明水彩絵の具と判断した人の意見を見る限り、追記はしたものの、最初に商品名を言っておけばよかった…!!と後悔しました😂
くすみカラーと知っていたらもしかしたら回答がまた違ってきたのかなと思いますが、正解不正解関わらずみなさん2枚をじっくり見比べて違いを感じ取っていただけて嬉しかったです😭✨
あとはやっぱり私の技量かな!?もうちょっと透明水彩の方も全体感を意識してダイソーさんの方に寄せられたらよかったかも。そう言いつつも、透明水彩の特徴はしっかり表現できたからよかったなと思います。
あとは、意外と透明水彩の印象って水彩境界だけではなくて、綺麗なぼかしやにじみの印象も強いのだなと思いました!透明水彩はパキッとした表現も可能ですが、それはあまり浸透していなくてふわっとしたイメージの方がやはり強いみたいですね。



透明水彩を使ったことがある人とそうでない人の間にも透明水彩の特徴に関して認識の違いなどがあるのかも?
Bのような塗り方は透明水彩じゃできないの?
Bの方の塗り方の方が好みだからダイソーのくすみカラーのような色の塗り方をしたい方もいるかもしれません。
Aの絵を見る限り、透明水彩ではBのような塗り方はできないのか?と言ったらそんなことはありません!
水を少なめにしてキワに水が溜まらないようにしっかりぼかせば下の作品のような水彩境界の目立たない絵も描くことができます。


透明水彩で境界を綺麗にぼかすには少し練習が必要ですが、あえて境界を作ったり、逆に残さなかったりと、表現の幅が広いというメリットがあるのではないかと思います。



私の愛用するウォーターフォード水彩紙は比較的水彩境界ができにくい紙だと思う!
ダイソーのくすみカラー水彩絵の具って結局どうなの?
結論から言うと、特にこれから水彩を始めてみたいと思っている方や水彩初心者さんに強くはおすすめできないです…!
おすすめできない理由
理由は2つあって、1つはやっぱり扱いにくさですかね。水彩といえばやっぱりグラデーションが個人的には醍醐味になってくるのかなと思っていて、それを最大限楽しむには透明水彩の方が圧倒的に向いていると思います。
ダイソーのくすみカラー水彩絵の具は色こそとっても可愛いのですが、淡さゆえに色の濃淡があまりないため、単色グラデーションがとても難しいです。
加えて体質顔料や水溶性糊料の影響か色が広がりにくく色がその場にとどまってしまう傾向が見られたので、画面上で異色同士を混色するにも慣れが必要になってくるのかなと思いました。
2つ目は、長期保存による劣化の心配です。透明水彩は、長期保存に適した成分を考慮して作られています。
一方で、ダイソーさんのくすみカラー水彩絵の具は、検証ができていないのでなんとも言えませんが、長期保存に不向きな顔料や糊が使われている可能性があります。そのため、せっかく描いた絵が劣化しやすいリスクがあるので、安易に購入して使用するのは避けた方が良いのではないかと感じます。



いい感じに描けたのに色が褪せてる😭とか紙がボロボロに😭なんてことになったら悲しいからね…!
そういった可能性があるということを念頭に置いてかつ使用するのであればもちろんOKだと思います!



でも経験して学ぶのも大事!
ダイソーのくすみカラー水彩絵の具を最大限楽しむには?
それでも使ってみたい!という方もたくさんいると思います。そんな時にくすみカラー水彩絵の具を最大限楽める方法をいくつかご紹介します!
①遊びやチャレンジとして楽しむ
今回のチャレンジのように、普段から透明水彩に慣れ親しんでいる人であればこの不自由さが一種の縛りプレイのようで楽しめるのではないかなと思います!実際に限られた色数と扱いにくさから学べることもたくさんありました!
②自分に合った紙と筆を使う
全画材で100均縛りをしようかと考えたのですが、私自身過去に透明水彩を始めたくて100均の紙を買ったところ苦い思いをした経験があったので今回は紙と筆を普段から使っているものにしました。
紙と筆を自分に合ったものにするメリットは、紙と筆から感じるストレスが軽減されるので、絵の具の質のみに意識を集中できることですね。
紙も筆も自分に合っていないものだと、そっちに気がいってしまい本来やりたかったことが十分に達成できない可能性もあります。「全画材で100均縛り」という目的で行うのであれば良いと思いますが、この絵の具だけ試したい!という目的であれば紙と筆は自分に合ったものを使うことをおすすめします!




もう少し詳しく水彩道具を知りたい方はこちらもチェックしてみてください!
③透明水彩と比較する前提で買う
私個人としてはやっぱり透明水彩を推していきたいので、100均水彩止まりになってほしくないのが本音です…!!
もし使うのであればどちらも使ってほしい…!この2種類の絵の具は似て非なるものなので、ダイソー水彩絵の具が合わなかった場合でも、透明水彩を使ってみたら楽しいと感じられる体験ができるかもしれません。(逆も然り)



実際に私もそんな風に透明水彩を始めた人間なので、ぜひこの感動を味わってほしいなと思います!
その他注意点
その他注意点としましては、「原画販売」や「展示」をする場合です。
耐光性の実験は行っていないため詳しいところまではわかりませんが、前述した通り100均の絵の具は経年劣化が早い可能性があります。
そのためお仕事用の作品や展示、長期間の保存を前提とした用途には適さないかもしれません。個人で原画を販売する際は、「100円ショップの絵の具を使用しているため劣化が早い可能性があります」と記載するとトラブルを避けることに繋がるので安心です。
まとめ


いかがでしたか?普段と違う画材を使ってみることで新たな発見が生まれたり、今まで使っていた画材をさらに好きになれたり、たった100円で最初に思っていたよりもずっと大きな経験が得られたなと感じました。
気になった方は是非「12色 水彩絵の具 くすみカラー」使ってみてくださいね!