こんにちは、アナログイラストレーターの雲丹。です。
つい最近XのTLで「兼業作家」と「専業作家」についての話題が上がっていたので、私が専業作家になるまでどんなことをしていたのか、専業作家になるきっかけはなんだったのかお伝えしていこうと思います。
これから専業作家として生活していきたい方にも何か参考になることがあれば嬉しいです。
「兼業作家」と「専業作家」の違いって何?
「兼業作家」とは一般企業などに務めながら絵を描いて収入を得て生活している人のことで、アナログイラスト界では兼業作家さんの割合が比較的多いかなと思います。
「専業作家」とは逆に絵を描くことで得られる収入のみで生活している人のことで、アナログイラスト界ではかなり少ない割合ですがそういった方もいらっしゃいます。
この場合、私は「専業作家」にあたりますね。
「専業作家」のメリット・デメリット
専業作家のメリット
専業作家のメリットはなんといっても時間があることです。
日中一般企業でお仕事をされている方よりも1日に使える時間がはるかに多いので絵を描く時間が多くあります。私は基本的に1日5〜6時間を作品制作や動画編集などの時間に充てています。
専業作家のデメリット
専業作家のデメリットは収入が安定しないことです。
一般企業のように毎月固定の金額は入らないですし、ボーナスや退職金などももちろんありません。
また、有給休暇などもないので、お金の管理はもちろん、自分の体調管理なども重要になっていきます。
専業作家の現在の暮らし
まず初めに知っていただきたいことは、私は2022年の4月から専業でアナログイラストを主に制作する作家兼イラストレーターで、活動を始めて今年で2年目、現在は独身、実家暮らしです。
主な進路は【高卒後3浪を経て4年制大学を卒業し、そのまま専業】になりました。大学では日本画を学んでおり、現在の活動にはあまり関係ないことをしていましたね。
この時点で既にあまり偉そうなことを言えないような立場の人間なので、こんな人もいるんだな程度に留めておいていただけると嬉しいです。
私は専業になる前(美術予備校で3年間の浪人生活+大学在学中の4年間の計7年間)に、今の活動を少しずつ確立させていきました。
専業作家に至るまでに私はいくつか実践してきたことがあるので続いてそれを紹介します。
専業作家になるまでにやってきたこと
専業になるまでにやってきたことは大きく分けて以下の3つです。
①SNSでの露出を増やす(知名度を上げる)
②お金周りのことを勉強する
③企業と仕事をする(個人依頼を受ける)
それではひとつひとつ見ていきましょう。
①SNSでの露出を増やす(知名度を上げる)
これは意識をしてやっていたというよりは、「ただ絵を描くのが楽しい」という理由と、当時はTwitterでの活動を主としていて、いいねやRTがもらえるようになって嬉しかったというのをきっかけにとにかく絵を描いて自分の絵を知ってもらおう!という気持ちが1番強い時期だったなあと思います。
また、SNSだけではなく、コミティアなどのリアルイベントや展示など実際に人に足を運んでもらうという意味での露出を増やすということも大切にしていました。
後ほどお金周りのことを勉強するという意味でコミティアや展示の話は出てくるのですが、学生の間にとにかくコミティアや展示にたくさん参加しました。
そこで不特定多数の人に自分のことを知ってもらったり、同じアナログ作家さんとの繋がりや企業に自分のことを知ってもらうきっかけにもなったのでリアルイベントに積極的に参加することは個人的にとても価値のある時間だったなと思っています。
特にコミティアに関しては、年4回開催全部出る!くらいの勢いで頑張って出ていましたね。私の場合、高校卒業後の学生時代が7年もあったので、今の活動につながる準備期間がとても長くあったというのが大きかったなと思います。美大に行きたいということも含めて自分のやりたいことをさせてくれた両親には感謝してもしきれません。
②お金周りのことを勉強する
これはとにかく大事だと思っていて、専業になる前に必ず覚えておいた方が良いと思います。
具体的に実践したことは、
・コミティアや展示などのお金が動くイベントに出る
・自家通販をやってみる
・確定申告をやる(勉強しておく)
です。
専業になる上でお金の管理は特に大事だと思っているので、専業になる前に最低限のことは勉強しておく必要があると思います。
コミティアや展示などのお金が動くイベントに出る
これは先ほど露出を増やす(知名度を上げる)というために出ているということもありましたが、お金の勉強にもなります。
本やグッズを作るのにどのくらいお金がかかるのか、売り上げはどうだったのか、赤字になってないかなど、今後経営をしていく上で大切なことを学ぶことができます。
展示にも同じことが言えます。材料費、額装代、出展費、搬入出で使った送料などの経費と展示で販売した作品やグッズの売り上げはどうだったのか、結果的に自分にとって(お金的なことだけではなく)プラスになる活動だったのか色々な視点から物事を考えられるようになるなと思います。
好きなこととお金を絡めることに抵抗がある時期もありましたが、専業になるためにはやっぱりある程度お金のことを意識しないと生きていけないのでこれは常に意識していたなあと思います。
自家通販をやってみる
私は専業になる前から原画や本、グッズを通販でも販売していました。初めて通販をしたのは高校三年生の時でした。
自家通販をやるメリットとしては、より多くのファンに自分の作品を届けることができるということとショップ運営の基礎を学べるという点ですかね。
より多くのファンに自分の作品を届けることができる
やっぱり遠方の方だとイベントに来れないという方も多いので、そういった方にも自分の作品を届けることができるのは大きいと思います。より多くの人に作品を届けることができるので純粋に利益も増えると言えますが、長く自分の絵を愛してもらえるようにファンの方にしっかり還元していくというのもとっても大切だと思っています。
専業作家は自分の絵を買ってくださる方がいないと成り立ちません。そのためにはファンを大切にするというのも重要だと思っています。私の場合は通販をすることや有料記事の公開をするくらいしかできていないですが、それでもやらないよりは長く応援してくださっている方にもいつもありがとうの気持ちを還元できているのかなと思っています。
自分が遠方住みだったり、イベントに行けなかった時に好きな作家さんが通販をやってくれるのは本当にありがたいので、準備も大変なのにいつもありがとうございますの気持ちでいっぱいになります。
自分も同じようなことをやってるからこそ作家さんの大変さやありがたさをより実感できるので作家さん自身に少しでもお金が渡ってこれからも創作活動を続けてもらえたらいいなと思っています。
ショップ運営の基礎を学べる
ショップの管理って本当に大変なんです…!初期設定、梱包、商品撮影、商品説明、検品、発送などひとつひとつは簡単な作業ですが、全部を一人でやろうと思うとかなり大変です。
とにかく初期設定がわからなくてやってないとか在庫管理が面倒でやってないという方も多いのではないでしょうか。
今は委託や倉庫発送という手段もあるので色々面倒だから投げ出したい!という方にはおすすめですが、委託や倉庫発送の場合はマージンや手数料というのが多くかかってくるので、手作業で全てやるのと委託や倉庫発送どちらが自分にとってメリットになるのか考えながらやってみるといいと思います。
確定申告をやる(勉強しておく)
これは本当にやっていて損ないです。絶対にやることになるので専業になる前からしっかり勉強しておくと安心です。税理士さんに丸投げという方法もありますが、収入が低いうちはなるべくお金をかけたくないので一度は経験して流れを掴んでおくと良いと思います。
まだ収入がそこまでなくて確定申告が必要なかった頃は、まずはレシートを管理することから始めました。どういったものが経費になってならないのか把握します。
現在は経費になるレシートは月毎にA4のコピー用紙に並べて貼って管理し、月一単位で隙間時間にちまちま入力作業を行っています。今はデータ帳簿保存も必要なのでそれも合わせてやっています。
確定申告については企業に勤めていると経験したことがないという方もいらっしゃるかもしれませんが、自分の収入を把握する手段にもなるので少しずつ勉強しておくとためになります。
そして年末にまとめてやるのだけは大変になるのでやめましょう…😭(経験済み)
絵を描くこと以外のよくわからないことには目を背けたくなりますが、慣れてしまえば割と簡単にできるようになるので最初の一歩だけでも乗り越えましょう!
③企業と仕事をする(個人依頼を受ける)
私は専業作家になる前の学生時代に何度か企業さんとお仕事をしたことがとても大切な経験になっています。詳しい経歴についてはHPを見ていただくとわかりやすいかと思いますので気になった方は見てみてくださいね。
https://illustrator-uni.tumblr.com/works
社会人経験がある方は問題ないかと思いますが、社会人経験がない学生の場合、専業になってから起業案件を受けてみたいという方は、専業になる前にできれば企業と一度お仕事してみるとよいと思います。
これはいわゆる「フリーになる前に一度一般企業に就職した方がいい」というのに少し近いのかなと思います。企業と仕事するとコミティアや展示に参加することとはまた違った視点を知ることができます。
企業案件なんてそう簡単に受けられるものじゃないよ!と思ういう方もきっと多くいるかと思いますが、企業相手ではなくても「ココナラ」など個人依頼を一度やってみるのもいいかもしれません。
Skebはクライアントとのやりとりがないようなシステムなので個人依頼とは別物の「有料リクエスト」として捉えておくといいと思います。
企業相手でも個人相手でも、1人だけでやる活動とは全く違います。良い意味でも悪い意味でも縛りがある環境の中でどうやって円滑に仕事していくかというのを学べたよい機会だったなと個人的には思っています。
・メールのやり取り
・クライアントの要望をしっかり聞く(ヒアリング)
・締切を守る
・請求書などの書類を発行する
以上の4点は企業と仕事をしていく上で特に学べたことだったなと思います。
メールのやり取り
まずはメールのやり取りですが、相手の顔を見ることができないので、変な不安や誤解を与えないように言っていることに間違いがないか、言い回しはあっているかなど気にしながら毎回メールを打っています。初めての企業案件では、未経験のため失礼なことがあったらすみませんと伝えておくのも良いと思います。私もまだ完璧ではないので日々勉強中です。
そしてとても大事なことが、【すぐに返信すること】
私はこれを徹底しています。早ければ数分後、遅くても2、3日以内には返信するようにしています。時間を置けば置くほど面倒になってくるし返信を忘れてしまう可能性があるので見たら返すを心がけています。
また、すぐに返信が難しい場合は「◯日頃に返信いたしますのでお待ちください。」といったことを相手に伝えたり、遅れた場合はしっかり謝ることも大切です。相手の信頼を得ることは次の仕事にも繋がることなるので丁寧に行うことを心がけています。
クライアントの要望をしっかり聞く(ヒアリング)
クライアントの要望にしっかり応えられるように細かく擦り合わせを行うことはとても大切です。自分の好きに描きたい!という気持ちもあるとは思いますが、依頼を受けている以上自我を突き通す前にクライアントの要望にしっかり応える姿勢が大事です。(自由なイラストは個人制作で描きましょう。)
そしてクライアント側があまり絵の発注に詳しくないという場合もあります。その場合難しい要望をされてしまったり、曖昧な情報しか伝えられない場合があります。
そんな時はこちらから事細かく聞く必要もあります。一生懸命描いた絵が求めているものと違くて描き直し!なんてことにならないように、ヒアリングシートなどを作って事前にそれに答えてもらったり、不安や疑問に思う点はこまめに相談や質問しておくと結果的に円滑に仕事を進めていくために重要なことだと思っています。
締切を守る
何事にも言えますが、締切は絶対に守りましょう。そのためにはスケジュール管理をすることが大切です。現在私は紙のスケジュール帳に書き込む形でスケジュールを管理しています。
学生の頃は学業と両立していたということもあり、締め切りギリギリの提出になってしまったり、徹夜して体調を崩したりと後悔したことも多かったので、スケジュール管理はちゃんとやっておこうということを決心しました。
お仕事を受ける前に締切が厳しいと感じる場合は、事前に相談してみることも大切です。お仕事を受ける気持ちがあることを示した上でスケジュールの相談をしてみると柔軟に対応してくれる場合もあります。それが難しい場合は依頼を断る勇気も必要です。
専業の場合は特に自分の体を壊さないように余裕を持ったスケジュールに調整する大切だと思います。体を壊したら余計に迷惑をかけることになるのでね!体調管理にもしっかり気を使っていきましょう。
請求書などの書類を発行する
企業と仕事をする場合請求書の提出を求められることが多くあります。
企業側の方で請求書を作成して必要な情報だけ入力してくださいねという親切な企業もありますが、基本的には全て自分で作成しないといけません。
私もまだ請求書の作成は苦手なのですが、既存のテンプレートをダウンロードして必要に応じてカスタムしてフォーマットを作っておくと簡単に発行ができるので事前に作っておくと便利です。
まとめ
以上、私が専業作家になる前に実践してきたことでした。
そしてある程度土台が固まったところで、自分がやりたいことは一体なんだろうと真剣に考えた時に、私は今の活動をどうしても続けたかったので専業になることを選びました。
結果的に今のところは実家でお世話になっている形になるので本当に偉そうなことばかり語ってしまって申し訳ないのですが、少しでも何かお役に立てることがありましたら幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!